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2019年1月23日 (水)

「エコハウス・全館空調」を標準仕様にします-「設計事務所・建築家とつくる『エコハウス』、『全館空調の住まい』」

※この記事は、2018年12月25日に掲載したものを、2020年1月に、構成などを修正したものです。

この度、当事務所(磯貝地域建築設計事務所)では、年明け平成31年(2019年)より、当事務所が設計監理をさせて頂く戸建住宅などについて、「『エコハウス・全館空調』を標準仕様とする」ことといたしましたのでご案内申し上げます。

 「エコハウス」、「全館空調」とは?

①「エコハウス
明確な定義はないようですが、
自然再生エネルギーや自然素材などを利用して、環境への負担を減らす住宅(エコロジカル)、
「高断熱・高気密化などにより、エネルギー消費や光熱費などを減らす家(エコノミカル)」
などのことを言います
(※一部で、いわゆるローコストで建てる家を「エコな家」と呼ぶ会社さんなどもあるようですが、現在一般的に用いられる「エコハウス」の意味とは異なります)。
当事務所では「エコハウス」を、上記の目的を実現する方法として「パッシブデザイン」(機械に頼り過ぎず、自然を利用して行うエコ)を改めて重視する家と考えています。特に「日射のコントロール」「通風」の活用に努めます

②「全館空調」-「快適さ」と「健康」
簡単には「住まいのどの部屋、どの場所においても、同じ室温にするための冷暖房の仕組」のことです。従来から、高齢者の冬場のヒートショック抑止などの観点から勧められてきましたが、最近は、「家での生活の快適さ」を求めて採用する方が増えてきたようです。例えば「トイレに行くのに廊下がヒヤッとして寒いのがイヤ」、「お風呂場や洗面脱衣室、トイレなどが寒いのがイヤ」などです(「空調」とは、(本来は換気も含めた)冷暖房のことを言います)。
このような部屋間、部屋内の天井付近と床付近など上下での温度差(「温度ムラ」ともいいます)が少ない家は、血管への負担が減らせることから「人を健康にする」ことにもさらに注目が集まっています
「全館空調」は、「エコハウス」をつくるための重要な要素のひとつであると考えています

全館空調の光熱費は高くなる?

 全館空調は、人が使っていない部屋にも空調をするわけですので、個別空調(各部屋ごとにエアコンやストーブ、床暖房などで行なう空調)に比べて光熱費が高くなる傾向にはあります。しかし、特にエアコンなどでは、入切を繰り返す「間欠空調」はエネルギー消費が大きくなることは知られてきましたし、全館空調は、「弱」連続運転なので、光熱費アップは最低限で済みます。さらには、住まいの断熱性・気密性を高めることで個別空調より光熱費が抑えられることが、海外の例などから知られています

全館空調のイニシャルコストは?

全館空調については、一部の先駆的な設計事務所さん以外でも、一部のハウスメーカーや施工会社さんが勧めていますが、実はひと口に「全館空調」と言っても、いろいろな空調メーカーのシステムを使っていることがほとんどなのですが、一般的に、全館空調の住まいを実現するには、200~300万円ほど追加で費用が掛かります。ただ、先ほど申し上げたような一部の先駆的な方々の中には、創意工夫を重ねて、安価に全館空調を実現していらっしゃる方も少なくないですし、下でお書きするように、技術情報がオープンになってきました
ちなみに「OMソーラー」なども全館空調のひとつとして知られていますが、OMソーラーはフランチャイズ制で、フランチャイズ契約した施工会社でしか施工できないので、施工会社が限られてしまうのですが、OMソーラーと開発は同じで、そうしたフランチャイズ契約が不要で、どの工務店でも少しの指導料をメーカーに支払えば施工できるシステムもあるのです。「OMソーラーのような仕組みの家が良いけど、施工会社のしばりが・・・」などの悩みは、実は不要なのです

「エコハウス・全館空調」を標準仕様化したのはなぜ?

しばらく前から、地球温暖化対策としての高断熱化、ゼロエネルギー化(ZEHなど)は国の方針となっているわけですが、「エアコン1台で暮らす」「床下エアコン」など、イニシャルコストをできるだけ抑えて室内の温熱環境を良くしたり、エコハウスなどの実績もかなり増え、さらにはそうした技術情報がオープンになってきました。こうした本は、書店でも簡単に見つけることができます。そうした背景や建主様のニーズなどを受けて、今回当事務所では、「エコハウス・全館空調」を標準仕様とすることにしたものです

「エコハウス・全館空調」以外は設計依頼できない?

もちろん、「標準仕様としてお勧めをする」ということであって、エコハウス・全館空調以外の住宅の設計監理のご依頼をお受けしないというわけではありません

 設計事務所・建築家と「全館空調」の住まいをつくるメリットは?

そうしたことをふまえて、現時点で当事務所が考える、「設計事務所・建築家と『全館空調』の住まいをつくる意義」とは、「全館空調」を施工会社さんを中心に選ぶと、他の標準仕様などが全部セットでくっついてきてしまいます(もちろんそれで大満足の施工会社さんが見つかれば良いわけですが)。こうしたことから、設計内容や施工会社さん選びの制限を受けることなく、さらには「いろんな全館空調の中から、細かなライフスタイルやご予算に応じて、全館空調の仕組を選択できる」という点にあるのではないかと考えています。

当事務所にご依頼頂くのメリットは?

従来より、長い軒や庇、通風などを考慮した「パッシブデザイン」に力を入れてきた当事務所のノウハウは、「全館空調」を補完して、温熱環境の快適さや光熱費の削減に貢献できると考えること
断熱については、以前よりその時代の最新基準に合わせた仕様を標準としてきたこと。さらには建主様のご要望に応じて、税制上の優遇を受けられる省エネ基準などに適合させ、合格してきたこと
これらをふまえて、吹抜があっても温熱環境も快適な住まいを少なからず手掛けてきましたが、さらには、必要に応じて「吹抜調査」などを行ない、引渡し後でも相談に応じたり対応してきたこと
当事務所は、「ZEHプランナー」として登録していますので、もしZEHにして補助金を受けたいなどの場合にも対応がしやすい(補助金は必ず受けられるわけではありません)
などがあるかと考えています。

当事務所がご提案する住まいとは?

私が社会人になったころには、「高気密・高断熱の家」というのが流行っていました。しかしそうした家の多くは、「断熱性能を上げるために窓を小さくする、中間期であってもエアコンを使う」という、日本の気候風土に合った開放的な住まいとは相反する条件を前提としていました。もちろん、花粉症がひどい方や周囲が砂ぼこりがひどいなどのケースにおいてはそうした家も一定の意義はあるかとは思いますが、当事務所が目指すのは、「春・秋などの中間期を中心に、あくまでも軒や通風などの「パッシブデザイン」や「外部とのつながり」を重視した上で、特に酷暑や厳冬やその周辺時期の室内環境の悪化を「全館空調でカバーする」ことで、室内環境を快適にするとともに、イニシャルコストや光熱費などを可能な限り抑えていく。そしてデザインや使い勝手、細かな工夫などは、今までと同じく、建主様のご希望に沿っていく」という住まいです。

新築時こそ「エコハウス・全館空調」を

新築で住まいを取得するのは、20~30歳代の方が多いわけですが、ほとんどの方が初めての住まいづくりで、わからないことも多いのはもちろんですが、新築時こそ、将来を見すえて「エコハウス・全館空調」を選んで頂きたいと思います。それは、
住まいの断熱性が高く「寒くない、暑くない」ことの良さを実感できるのは、多くの場合、健康不安が出てくる40歳代であると考えられるため
子育て世代の場合特に、「家族が多いと寒さが軽減される」ということに気付かないことが多いと考えられるため。家族が多いと、家の中のいろんな部屋で空調を使っていることが多いため。子どもの成長などに伴なって同居する家族が減ると、家の寒さ、暑さが強く感じられるようになります。

 コストと快適性の両立を

ご存知の方も多いと思いますが、冬についてですが、「北海道の家は断熱をしっかりさせ、光熱費を惜しまず掛けて暖房して、冬は家の中でTシャツで過ごしている」といいます。とても優秀な先輩建築家が北海道で活動していて、「北海道は、断熱や暖房が死活問題になるから真剣度が違う」といったような助言を下さったことがあります。光熱費を湯水のように掛けてよければ、どの家でも全館空調のような状態にすることは簡単です。ただ、やはり光熱費は安いに越したことはないのです。そして、通風もままならない密集地で、高いプライバシーが求められることの多い東京などの大都市でも、空調には力がそそがれてきたものと思われます。もちろん群馬には、北部には雪の多い地域もありますが、基本的には「全館空調までは必要ないだろう」と考えている専門家が多かったように思いますしかし技術は進み、比較的安価で採用でき、光熱費などを抑える工夫も発展して来ました。そして地球温暖化によると思われる、近年の酷暑、特に海がなく、一部では東京のヒートアイランド現象の影響も受けて夏に高温になる傾向が高い群馬県においても、「全館空調」を標準仕様としても良いのではないかと考えるに至りましたせっかく家を建てるのですから、できるだけ快適に暮らしたいと思うのは誰でも同じなのだろうと思います。

 施工会社さんとも技術交流を

そうしたことで「標準仕様」として始めますが、当事務所においては、全館空調や断熱性能向上などに真摯に取り組んでこられた施工会社さんと技術交流・情報交換を常に行ないながらさらに発展させていきたいと考えています

 今までの建主様へもご提案いたします

それと、今まで当事務所に設計監理をご依頼頂いた建主様には、「うちの家は全館空調ではなかったのに・・・」と残念に思われる方もいらっしゃるかと思います。でもご心配は要りません。当事務所で建てさせて頂いた住宅は全て、基本的な断熱性能を高くし、かつしっかりと監理をしてつくってありますので、全館空調の必ずしも前提条件ではありませんが、「そうなら絶対にその方が良い」高い断熱性能を持たせてあります。そして、「廊下をできるだけつくらない間取り」がほとんどであることも良い方へ影響します。もし当事務所の建主様で「全館空調」のような暮らし方、温熱環境にご興味がある方がいらっしゃったら、ぜひお声掛け下さい。責任を持って、「全館空調と同じような住まい方へのアドバイス」をさせて頂きます

 以上、長くなりましたがお知らせまで。
ご興味をお持ちいただけた方がいらっしゃったら、当事務所WEBサイトの問い合わせフォームより、無料相談をお申込み頂ければ幸いです。以前からお知らせしていますが、既存の住宅であっても「吹抜が寒いので何とかならないか」などとのご要望に対しての調査やリフォーム提案・施工会社のご紹介と見積チェックなども行なっていますので、ご相談頂ければと存じます。

(リフォーム・リノベーション事業についての過去の記事)
http://isogai-a-and-l.cocolog-nifty.com/isogai/2017/02/post-55e4.html

 
今後ともより良い建物づくりに努力していく所存ですので、当事務所を宜しくご愛顧頂きますようお願い申し上げます。

 磯貝地域建築設計事務所WEBサイト

 ※添付の写真は当事務所設計監理の「土間のある家」です。UA値=0.83W/(㎡K)で、断熱等性能等級4の認定を受けて、税控除なども受けています

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