サイディングから建物の形を決めました
「クラガノキューブ」は、先週から始まった外壁サイディングが、
完了に近づいて来ました。
この「クラガノキューブ」では、建主様から最初に、建物コストを抑えて行きたい旨のご要望がありました。(補足ですが、家づくりの予算は、「どれだけ予算を掛けられるか」ではなく、「どこまで予算を掛けたいか」である場合が多いです)
コストを抑えるポイントはいくつもありますが、外壁材も金額が大きいので、コスト削減効果が高い部分です。そしていろいろある外壁材の中でも、あらかじめ塗装をしてある窯業系サイディングは、やはりコストダウンを図りやすい傾向にあります。ただ窯業系サイディングは、デザイン的に良い柄が少なく(好みの問題もありますが)、色も限られるため、設計関係者は敬遠しがちかも知れません。
そんなところで数社のサイディングを比較してサンプルを取り、コストも抑えめで使えそうな柄があったので、これを使う方向でと、設計の初期段階で建主様と話し合いました。ちなみに、ご存知の方も多いかも知れませんが、窯業系サイディングは、留め付け方法では主に「金具」と「釘」とがあり、釘留めのサイディングは薄くて一般的に安価なのですが、どうしてもヒビなど入るリスクが高くなるので、要は品質確保の面でそうしたサイディングは避けた上で、金具留めのものを選んでいます。
その上で、間取りや外観を何度が練り直して最終形に至っています。こちらのお宅は、ほとんどフラットな屋根になっていますが、建主様は最初は切妻屋根などがご希望で、フラットな屋根はどちらかというと好きではないという感じだったと思います。それでもいろいろ話をしながら、「このサイディングに合う屋根形状」ということもあり、今のようなフラット屋根で最終決定して頂いています。
度々書くのですが、建主様の希望をしっかりとうかがい反映させるのは基本ですが、それは、「建主様の知識・経験がバッチリ」であることが前提で、話し合って行くうちに、建主様の好みや価値観が変化していくのも、ある意味、家づくりの楽しみな部分でもあるのだろうと思ったりします。もちろん、私どもに「専門家としてのおごり」のような感覚がないことも大前提になると思いますし、逆に勉強させて頂くことも多いです。
余談ですが仕上材は、見積結果に応じて後からモノを入れ替えることができるのも利点のひとつですが、「この材料ならこういう形、こういう雰囲気」など、組合せで考えた方が全体として良くなることはままあります。
「平面が四角で屋根がフラット=キューブ(※)」という、この家の名前にもなっている特徴は、このように結果的には、最初に選んだサイディングから決まったものなのでした。
(※「cube」という言葉は、正確にはサイコロのような「直方体」のことを言います)
そして、予算が回せたので、部分的に、ほかに2種類の、ややコストが高い外壁材を使うことができています。要は単にコストを削っているだけではなく、あくまでも目指したのは、「安いのにカッコイイ、安いのにきちんととしている」です。(まあ、最終的な評価は現時点ではまだわかりませんが 苦笑)
今回貼っているサイディングは、設計段階で施工例を見ることができたのですが、躯体の精度が悪かったらしく、目地がまっすぐ通っていないなど、気になる面もあったのでメーカーに確認して採用したりなどありましたが、この現場の職人さんは、実に丁寧にやってくれているので、とてもきれいに仕上がっている印象で良かったです。
ということで全体としてどうなるか、まだまだ頑張らねばです!
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