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2012年6月29日 (金)

中間検査・県産材・継手

今週は当初の予報より天気が良かったので、外が気持ちいいですねー!
「クラガノキューブ」の工事も順調に進んでいます。

そういえば木曜の上毛新聞1面に、
県が行なった、「関東平野北西縁断層帯」などの活断層による、
県内における地震被害想定の見直し結果の記事が出ていました。
この活断層は、埼玉県から高崎市付近まで続くものだそうで、
県内でも最大で震度7が想定されるとはいえ、
今後30年以内の地震の発生確率もごくわずかとのことですし、
そもそも昭和56年の新耐震基準に則ってきちんと建てられた建物の場合は、
それほど心配する必要はないとされますが、
さすがに高崎を筆頭に、藤岡、富岡、安中あたりでの
あれだけの予想死者数や倒壊家屋数を見せられてしまうと、
想定をまとめた有識者の方の「群馬が絶対に安全ということはない」
というコメントも、かなりリアルに感じられます。
でも、変なセールスなどに引っ掛かってもいけませんので、
あくまでも冷静に・・・。

そんな中、週の初めに瑕疵保証の中間検査があり、
無事に合格になりました。

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ここでは、構造的に重要な耐力壁や柱に取り付ける金物がチェックされます。
それに先立って、もちろん私の方でも検査をします。
高崎市の場合は、瑕疵保証の検査に合格すれば、
行政の中間検査は省略できます。

この「クラガノキューブ」は、最初の方の記事で、
「コストパフォーマンスが良い」と書きました。
見た目や性能を落としてローコストで作ることは
それほど難しいことではないと思いますが、
要は、「コストを抑えながらもできるだけ良いものを作る」、そして
「コストを掛けるところと抑えるところのメリハリをつける」ということでしょうか。

でも、私ども設計事務所に設計監理をご依頼頂いている時点で、
すでに完全なローコスト型ではなく、少なくとも上記のようなメリハリ型ですが(笑)
(もちろん私どもが関わることで、逆にコストが下げられる部分もあります)

ちなみにこの「クラガノキューブ」でも、在来構法ですが構造計算をしていて、
長期優良住宅にもできる「耐震・耐風等級2」のレベルにしてあります。
しかも木造住宅レベルでは、構造計算の基準が主に2種類ありますが、
それの新しい(厳しい)方に準拠した計算にしてあります。

今回の構造計算は、県内で「適判」というビル建築などの審査も担当し、
木造の別荘などの構造設計でも実績が多い、
しっかりした構造家さんにお願いし、じっくりと打合せを重ねて進めました。
この程度の耐震性向上は、ほとんどコストアップにはならないので、
ぜひやっておきたいところです。

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また同じ日に、県産材の検査も行われました。
「クラガノキューブ」では、構造材は主に県産材を使っています。

最近は良く知られるようになってきたと思いますが、
群馬県の「ぐんまの木で家づくり事業」を利用することで
(そうした材木には、写真のようなシールが貼られます)、
最大で80万円、多くの場合30~40万円の補助金が受けられます。
森林は、手入れをして木を育てて伐採し植え直すとのサイクルが
成り立たないと荒れてしまいますので、
県内の森林保全、林業振興の面からもとても良い事業だと思っています。
今回使用しているのは無垢のスギの柱や梁で、
それ以外に県産の集成材もあるとは聞きますが、
もう少し価格がこなれてくれると良いなという段階のようです。

家づくりでは一時期、無垢材の「乾燥による狂い(変形)」が
クレームの原因になり、無垢材よりも集成材の方が
重宝がられた時期がありました。
でも近年は、無垢材の人工乾燥技術が向上してきたこともあり、
無垢材の狂いも、多少はあるとは思いますが、
以前ほど心配しなくて済むようになってきました。
無垢材と集成材はそれぞれに長短がありますので、
私もケースに応じて選び、建主様にご提案しています。
こうした補助制度の利用も、コストパフォーマンスの向上に
貢献しているわけです。

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構造に関連して余談ですが、(この記事の最初の巨大地震の話と
直結するレベルの話ではないと思いますので、念のため)、
木造の梁や土台は通常、
長さが3m、4mの定尺物(ていじゃくもの 要は規格品)を使うので、
ところどころに「継手(つぎて)」という、いわばジョイント部分ができます。
ですがこの継手は、構造的には弱点なので、その「位置」も重要です。
特に耐力壁との位置関係も気にする必要があるのですが、
在来木造の場合、耐力壁の位置を決める人と、継手の位置を決める人が別々で、
それらの間での調整や検討がされていないことも結構あるようです。
(多いのは、前者は法律に絡むので設計者である建築士またはその見習いさん、
後者は大工さんやプレカット屋さん、というパターンでしょうか)
当事務所の場合は、構造計算で求めた耐力壁を、
必要に応じて多少修正しながら、構造図も私が作図することもままあるので、
継手の位置は設計段階で私が決めて、現場と打合せしています。

そんなところで構造部分が終わり、
現場はサッシュが入り、透湿防水シートも完了しました。
いよいよ外部廻りの防雨ができて、室内の作業も本格的に始まります。
とても楽しみです!

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