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2009年6月 6日 (土)

「構造計算しているから大丈夫」?

090606_050 先日、現在施工準備中の「高崎の黒い家」の構造担当者と打合せしました。構造は、SE構法という、集成材と金物を用いた木造です。特徴のひとつに「全棟構造計算する」という点があり、今回の家でも構造計算をしてくれました。余談ですが、木造における接合金物は、簡単に言って、①仕口や継ぎ手加工の合理化、②構造性能の担保、のふたつの目的があって、①だけを目的に開発された製品も結構あって、こうした製品は構造計算にはほとんど役に立ちません。

こうした「構造計算」を売りにしている建物や商品について、特に技術者ではなくて営業さんなどの口からでしょうか、「構造計算しているから安心」などの説明を聞くことがあります。たまに設計者の口からも、こうしたフレーズが聞かれます。もちろん、かいつまんで要点だけわかりやすく伝えているというケースもあると思いますが、でも実際は「構造計算している=安全」ではないので、誤解を招きやすく、良い表現ではないと思っています。「構造計算している=地震に強い」というのも間違いです。でも、構造計算を否定するのも間違いです。一般の方の中には、「さすがに構造計算をしているから基礎や柱・梁が太いねぇ」なんてことを言われる方もいます。必ずしもそうではないのですが・・・。

端的に言うと構造計算は、「ある一定の条件が満たされている場合に、安全性の根拠になる」ということで、少なくとも「ある一定の条件が何なのか」を理解する必要がありそうです。

今回の「高崎の黒い家」では、SE構法の提供元で、構造計算も行なってくれるNCNから提出された構造計算書の中身を、その「ある一定の条件が満たされているか」について最低限チェックし、疑問に思う点がいくつかあったので、構造担当者に連絡をとり、質疑応答をしていました。そうした中で、直接説明してくれるとわざわざ群馬まで出向いてくれて、いろいろなやり取りをしました。

事前に疑問点について見解の交換をしていたこともあり、当日は追加検討書も作ってきてくれてOKとの理解ができ、一定の安心感が得られました。構造担当の方も、しっかりと説明しようとの気持ちが伝わる方でしたし、NCNの構造設計の部門の人たちの総合力を感じることもできたように思います。(宣伝みたいに「完璧だ」とかいうわけではありませんが)「SE構法の構造計算ソフトって、そんな中身になってるんだ~」なんて思うこともあって新鮮でしたし、勉強にもなりました。

姉歯氏の耐震偽装事件を受けて、いわゆる「適判(構造計算適合性判定)」制度が始まって以来、鉄骨やRCなども含め、いろんな構造設計者と組み、ひとくちに構造設計者と言ってもいろんな方がいることを理解させられました。担当した物件で、適判でNGになり、確認申請の出し直しになったこともありましたし、適判からの質疑に、「ちゃんと適判通るかなぁ?」など不安を持ちながら、構造設計者と一緒にアタフタして回答を考えたこともありました(ただし、必ずしも「適判でNGになってしまう=構造設計がダメ」ではないです。いろいろなケースがあるようです)。適判制度の開始とともに、構造計算をした建物の構造計算や構造図については、構造設計者が責任を持って行なうように法改正がなされましたが、だからと言って、全体を統括する立場である意匠設計者が、構造設計・構造計算の中身にノータッチでいることも良くはないでしょう。構造の専門家である構造設計者の設計者判断や作業を尊重しながらも、建物の構造の安全性確保のため、ひいてはクライアントのために、意匠設計者としてできることはしていかなければと思っています。まだまだ努力や経験が必要ですが、頑張って行きたいと思います。

このブログ記事自体もかいつまんで書いていますが、クライアントに対しては、難しい内容であっても、大事なポイントにしぼって、わかりやすく上記の内容を説明をするよう心掛けなければと思っています。

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